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風が強く吹いている

 僕はこれまできちんとworksTokyoのコラムを読んだことがありませんでした(なんだかすみません。特に謝る必要はないと思うけど、なんとなく)。でも今回は、なぜか針生さんのコラムを読み、さらに「次書くのは僕なんじゃないか」と唐突に思ってちょっとドキドキし、でもそんなのおかしいなと思って頭から打ち消しました。

 するとその後すぐに、針生さんからリレーのバトンを渡したいというメールが届きました。ちょっと(いや、結構)びっくりしました。こういうこともあるんだと、今やユンギアンである私は”意味のありそうな偶然”を素直に受け入れ、バトンを受け取ることにしました。それにしても、針生さんと直接やりとりしたのは何年ぶりだろう。


 彼女のコラムを読んで、僕はある小説を思い出しました。それは三浦しおんの『風が強く吹いている』という小説で、箱根駅伝がテーマです。主人公の走(かける)は、箱根駅伝を走りながら次のような思いを胸にします。


 「走るという行為は、一人でさびしく取り組むものだからこそ、本当の意味でだれかとつながり、結びつくだけの力を秘めている。(中略)走りとは力だ。スピードではなく、一人のままでだれかとつながれる強さだ。(中略)好みも生きてきた環境もスピードもちがうもの同士が、走るというさびしい行為を通して、一瞬だけ触れあい、つながる喜び」


 僕にとってのグループに出る意味が、ここに表現されています。初めて読んだ時からそう感じています。個々人がバラバラでいながら、でも同時に誰かと繋がれるという矛盾が成立するところに、僕は身を置いておきたいと思うのです。走はそれを「喜び」と表現しました。

 走は、集団の中で傷ついた経験を持っています。僕もグループが苦手です。でもきっと、彼も僕も、グループを諦めることができなかったんです。彼が最後に手にしたような素晴らしいグループを、僕が将来手に入れられるかどうかわかりませんが、とりあえずお正月に箱根駅伝を見ながら、ぼんやり考えてみたいと思います。


 さあどなたか、僕の手に握られているこの襷を受け取って、次に繋いでください。


林 公輔

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Dec 21, 2018

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