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鏡の中の鏡ー迷宮ー

著者:ミヒャエル・エンデ

Recommended:篠崎絵里

出会いと馴れ初め

出会いは、小学校高学年のころ地元の小さな図書館の書棚でした。なんどもなんども貸し出しを繰り返し、ようやく書店でお金を払って自分のものとして手に入れたときには中学生になっていたと思います。私が不安定な思春期をなんとか生き抜くために、大きな助けとなり、治療者ともなってくれた一冊です。

誰にお薦めなのか

お薦めしたいのは、私と同じような頭でっかちな、こども大人の人。忙殺される日々に、立ち止まって鮮烈なイメージ体験に身を任せてみたい人にも。(ただし、本当に忙しい人にはお薦めしません)

感想

歪んだ合わせ鏡の回廊を行くように、一つひとつのイメージが次のイメージの連想につながり、前へ前へと進んでいくようでありながら、気づいたらはじめにつながっていく円環的な世界。不思議なイメージの世界です。渡り歩くイメージの洪水の中で、自分の奥の方の何かを脅かされ迷子になりふらふらしながらも、なんとか感覚を手繰りつづけて、読み終えた後には、なんとも言えない満足感と、高揚感があります。

本はいつも、ある意味では読者を映す鏡、とミヒャエル・エンデは言いましたが、グループもまさに、ある意味では鏡、かも。同じ本でも、読む人によってその体験が違うように、同じグループをともに体験していてもその体験は同じではない。隣にいる人と同じことを感じているようでいながらも、その体験や心のイメージは違う広がりを持っています。そんなグループに映し出される無数の自分と、自分に映し出されるグループを通して、グループと共に、そこに映る『ここに在るもの』に気づこうとする、私にとって特に体験グループはそんな時間のような気がしています。

印象に残ったフレーズ

印象に残ったフレーズは「落ちることを学べ!」普段から意識しているわけではありませんが、グループの中で居心地が悪くなってきた気がしてきたとき、気づくとこの声が私の背中を押しています。

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